全く参考にならない「京都大学大学院知能情報学専攻に合格する方法」

 

 どこか釣りのようなタイトルですが、京都大学大学院情報学研究科の知能情報学専攻にギリギリ合格できた男が実際に行った受験勉強というものをご紹介いたします。故に!最初に述べておきますが!僕が合格できたのは完全なる運!ラック!たまたま!でございますので、タイトル通り全く参考にならないであろうことをご了承ください。皆さんは反面教師的な視点でお読みいただけると良いかと思います。

前置きが長いですが、これは僕が初めて執筆するブログで、さらに僕の生来の性格により非常にむかつく文章となっているかもしれません。それでもいいよという方は見てください。それだとよくないよという方も見てください!ではいきましょう! 

 

知能情報学専攻ってどんなとこ?

 この記事を読んでいる方はほとんど知っておられるとは思いますが、「そもそも知能情報学専攻ってどんなとこやねん」ということについて少し触れておきたいと思います。RPGでも敵を知ることは重要ですしね!敵を知って対策立てていきましょう!

 

www.ist.i.kyoto-u.ac.jp

まず知能情報学専攻のホームページを見てみると、

知能情報学は、生体、とりわけ人間の情報処理機構を解明し、これを高次情報処理の分野に展開することを目的とした学際的な学問領域です。

京都大学 大学院情報学研究科 知能情報学専攻「知能情報学専攻の概要」より

とあります。少し抽象的なので専攻長の挨拶を読んでみると

具体的には、生体の知的な活動の根源としての生命、脳・神経、認知、行動などの人間や生体の原理、画像、音声、言語といった情報メディア、さらには人間とメディアのインタラクション、人工知能機械学習ビッグデータ、ソフトウエアやネットワークといった人間と情報処理の関わるさまざまな側面に関する教育や研究の対象としています。

(同上)「知能情報学へようこそ」より

ということです。僕は昨今ブームとなっている人工知能機械学習などと、人間の活動や情報メディアをいろいろ組み合わせた研究をしているというような理解をしました。

そんなブームとなっている分野を扱っている専攻ということで、倍率もなかなか高いです。参考までに2021年度4月入学の修士課程の出願状況はこんな感じです。

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2021年度修士課程出願状況(情報学研究科「出願状況」より)

 それぞれの専攻で定員と比べてみると

  • 知能情報学専攻 109/33 (倍率:3.3)
  • 社会情報学専攻 48/32 (倍率:1.5)
  • 先端数理科学専攻 15/14 (倍率:1.07)
  • 数理工学専攻 33/19 (倍率:1.73)
  • システム科学専攻 69/29 (倍率:2.38)
  • 通信情報システム専攻 60/39 (倍率:1.54)

となっておりまして、たけえわこれは。とはいえ他の大学院でも情報系はきっと高いのでしょう。好きなポケモンピカチュウを挙げるようなものです。全員がピカチュウになれるわけではないので、そこは受け入れましょう。あなたはピッピやリザードンになるのかもしれません。

 

実際どんな勉強したの?

では僕はピカチュウになるためにどのような勉強を実際にしたのか。それにはまず、知能情報の入試について知っておく必要があります。

知能情報の試験は3科目行われ、全て100点満点の合計300点満点です。試験科目は

  1. 情報学基礎(2分野)
  2. 専門科目(6分野から2つ選んで解答)
  3. 英語(TOEFL,TOEIC

となっております。英語について、今年度はコロナウイルスの影響により、英語で行う口頭試問で評価するということもありましたが、例年ではTOEFLTOEICのスコアにより評価されます。僕はスコアを提出出来なかったので、口頭試問が英語で行われることは事前にわかっていたのですが、口頭試問の時間は5分ほどしかなく、「うまく受け答えしなければならない」と気負ってしまったので、英語の試験は早めに受けておくことをおすすめします。

さて、ここからは僕の受験生生活を日記形式で振り返っていきましょう。その中で「情報学基礎」と「専門科目」についても説明します。重ね重ね言いますが、参考にしないでください。イラつかないでください。イラついた時は一旦読むのを止め、脱力タイムズをみることをおすすめします。使った参考書については最後にまとめて紹介します。

2020年3月

「情報学基礎」は「アルゴリズムとデータ構造」、「微分積分線形代数」の2分野あるので、なんかいい感じの参考書ないかなーと思いながら何度か本屋を訪れる。院試へのモチベは三角関数と同様の変化をしているため、本屋へ向かう周期は2πごと(は?)。

結局3月中は何も買わずじまい。よく寝た。

(あと、アルゴリズムとデータ構造に関しては講義で取っていたし、Atcoderとかもやっていたのでいいやと思いこの後も特に対策はしておりません。)

2020年4、5月

研究室へ配属されたことにより、院試へのモチベは高まり、本屋へ訪れたい気持ちは生まれては消え、生まれては消えを繰り返す。1回生の時の教科書で線形代数の復習をした。微積は記憶の彼方へ消え去っていて、内容を思い出そうとしても、頭の中では乃木坂がヘビーローテーションするので微積の教科書を買う意思を固める。ここまで出費なし。

2020年6月

出願もあったので流石に微積の教科書、微積・線形の黄本を買う。昨年の過去問を見て、「線形代数固有値求められればいいや〜(ヘラヘラ)」という感じでいたため、微積の教科書と黄本を適度にやる。おそらく1日2時間〜3時間の勉強だが、自己肯定感のつまみが壊れているので、世界一勉強したと本人は思っている。

また、専門科目についても意識し始める。専門科目は

の6分野から2つ選んで解答する形式だが、友人や先輩らに聞くと3分野程度勉強して、当日に1分野難しめの問題があっても対応できるようにする場合が多いようだった。

線形代数の武器を固有値のみに限定した男がそのような対策を取れるはずもなく、「悟空だってかめはめ波元気玉くらいしか使わんやん」という謎の理論のもと、2分野のみの勉強でいくことを決意。統計学情報理論を手持ちの武器とした。

情報理論を選んだのは京大の西田先生のサイトがかなり良い勉強が可能であるということが理由です。統計学は知らん、なんか簡単そうやし必要そうやしいけるだろという)

ということで統計学の演習問題のための参考書を購入し、これで必要な参考書はそろったということで無敵の心持であった。

2020年7月

前半は専門の勉強を続けながら、情報学基礎の過去問を解くということをしていた。相も変わらず1日2時間〜3時間の勉強でピカチュウになれると思っていた。蛙になりかけていることも気づかず井戸の中で満足していた。

(ちなみにこういうと情報学基礎の勉強は完璧になっているかと思われるかもしれませんが、微積については黄本が半分程度終わっている状態で、線形代数は6月と同じ状況です。)

前半が終わるころ、統計は頭の隅に追いやり情報理論の勉強をある程度終わらせた。

後半になり試験まで残り2週間ほどとなった頃、「流石にこのままでは草」と思ったため、今までの倍ほど勉強しようと決心するも2日ほど経ったところで体調を崩し、1週間ほど元の勉強時間に戻ってしまった。とはいえなんとか帳尻を合わせ最後の1週間の詰め込みでとりあえず十万ボルトとアイアンテールを出せるくらいにはなっていた。(線形代数の武器は固有ry)

 

とまあこんな感じでございます。いかがでしたか。結局やった量としては黄本は微積については1周、線形代数固有値のとこだけ、統計学の参考書は1周ということで、本当に怒られそう。ちゃんと試験本番で後悔しました。要するにピカチュウになるために「十万ボルト」「アイアンテール」「ボルテッカー」を覚えて試験に臨んだと思ったら「でんじは」「しっぽをふる」「なきごえ」を覚えていたみたいなもんです。(ボルテッカー使う時だいたいピカチュウ叫ぶでしょ?)

一応自分が使った参考書やサイトを載せておきます。これだけ少ない勉強量で僕を合格まで導いてくれたのですから、きっと素晴らしい参考書やサイトです。

微分積分

数研講座シリーズ 大学教養 微分積分|チャート式の数研出版

 

www.saiensu.co.jp

線形代数も同じやつです)

統計学

明解演習 数理統計 / 小寺 平治 著 | 共立出版

情報理論

西田豊明のサイト - 情報符号理論

過去問について

本番についてのお話をする前に過去問について僕の感想を述べておきます。ホームページに3年分の過去問が載っており、それ以前の分は先輩からもらうなどして入手しなければならないと思いますが、絶対に手に入れなければならないとは特に感じませんでした。もちろんやらないよりやった方がいいとは思いますが、自分が解答する分野の教科書や参考書などで内容をしっかりと理解していれば3年分あれば大丈夫だと思います。さらに、昨年度から試験の形式が変更になっているため、過去問ゲーというわけではないだろうと感じました。誰が言ってんねんという感じですね。聞き流してくれ〜

本番はどんな感じ?

実際の試験は初日に「情報学基礎」、「専門科目」が行われ、その結果に応じて翌日に「口頭試問」が行われます。事前に提出してあるTOEFLTOEICのスコアで「英語」の得点は決まるので、「英語」の試験は例年はありませんが上でも述べたとおり、僕のようにスコアを提出できなかった人は翌日の英語の口頭試問がありました。初日には2科目行われるわけですが、僕は本番どうだったかというと

微積はそこそこ、線形代数はダメダメ、アルゴリズムは時間足りん。

情報理論はそこそこ、統計は(1)しかわからん。

という状況で「これは落ちたな」と思いました。なにせ自分が持ってきた武器がかめはめ波元気玉、十万ボルトなんかではなく、なきごえだったことにここで気づいたのですから。

翌日、口頭試問が実施される部屋に入ると専攻の教授陣がずらっと座っており、気持ちとしてはエレンの戦術価値を説くアルミンでした。もちろん僕が説くのは「自分」の「志望理由」であり、心臓を捧げる必要はないので幾分かは楽でした。自分の志望理由と教授からの質問が終われば口頭試問は終わりで、あとは結果を待つのみとなります。

[おまけ]開示結果

合格発表が試験の約1週間後にあり、自分の番号を見つけたのち、自分の試験の結果はどうだったのだろうと気になります。合格したということは十万ボルトまでは出せなかったけど、五、六万ボルトは出ていたのではないか。しっぽをふるでソニックブームが起きていたのではないか。そういった期待を込めて成績開示の請求を出すことができます。

  • 情報学基礎:69点
  • 専門科目:44点
  • 口頭試問:78点

統計学やっぱ(1)しかあってへんわこれ。